![]() ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/02/20041202ddp041040003000c.html 届かない悲鳴: 施設虐待の深層 福岡・カリタスの家、入所者の預金流用で告訴へ ◇前施設長が900万円
虐待問題が明るみに出た福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」を運営する社会福祉法人
「かいたっくす」の原田芳枝常務理事(カリタスの家の前施設長)が97年、北九州市内の同法人運営の施設に入所して いた女性の預金口座から、900万円を勝手に引き出し、カリタスの家の建設資金に流用していたことが分かった。今 年6月、原田氏は流用を認め、女性側に返済した。しかし、他にも同じ口座から約350万円を無断で引き出している疑 いがあるとして、女性側は原田氏を横領容疑で刑事告訴する方針。【虐待問題取材班】 この女性は96年12月、かいたっくすの関連施設に入所。97年2月以降、施設側に「近くに身寄りがいない」と銀行 通帳と印鑑を預けていた。 女性の親族によると、原田氏はカリタスの家開設(98年9月)直前の97年10〜11月、預かった通帳と印鑑を使っ て、口座から2回にわたり無断で計900万円を引き出していた。 一方、原田氏は97年10月から99年5月にかけて「関連施設を生涯利用する契約料」として3回にわたり、無断で同 じ口座から約350万円を引き出していた。原田氏はこの金で、女性に相談もなく生涯利用契約の手続きをしていた。 引き出された金は、事故で死亡した女性の家族の死亡保険金。保険会社から昨春、女性の親族に再度保険金の支 払い通知があり、通帳類を確認して流用が発覚した。 親族側が原田氏に返済を求めたところ、今年6月末になってようやく900万円が返済された。しかし、残りの約350 万円について原田氏は「生涯利用契約料だ」として返済を拒否している。 施設の規約によると、生涯利用の場合、330万円を施設側に支払う必要がある。女性はカリタスの家開設とほぼ同 時に移り、流用発覚後の今年3月にカリタスの家も退所したが、規約には「退所すれば利用年に応じて残金を返還す る」と明記されている。 これに対し原田氏は「カリタスの家を建設するための自己資金が不足していたため、(女性の)900万円を借りて建 設費にあてた。350万円は入所の際に納めてもらうもので問題ない。(女性は)浪費癖があり、(本人に)言うべきでは ないと思った」と釈明している。 原田氏は、カリタスの家の開設当初から昨春まで施設長を務めた。現在は県運営の自閉症・発達障害支援センター 「ハレルヤ館」のセンター長。カリタスの家の原田秀樹施設長は原田氏の長男。 ◇ ◇ カリタスの家の問題で、障害者らの権利擁護活動を行っているNPO法人・人権オンブズ福岡(貞池和生代表)が1 日、福岡県にカリタスの家の正常化を求める要望書を出した。貞池代表は「県の対応の遅れが事件の根幹にある。徹 底調査し、改善してもらいたい」と訴えた。 毎日新聞 2004年12月2日 東京朝刊 福岡・障害者虐待: 入所女性の900万円流用、無断で建設資金に 理事を告訴へ
虐待問題が明るみに出た福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」を運営する社会福祉法人
「かいたっくす」の原田芳枝常務理事(カリタスの家の前施設長)が97年、北九州市内の同法人運営の施設に入所して いた女性の預金口座から、900万円を勝手に引き出し、カリタスの家の建設資金に流用していたことが分かった。今 年6月、原田氏は流用を認め、女性側に返済した。しかし、他にも約350万円を無断で引き出している疑いがあるとし て、女性側は原田氏を横領容疑で刑事告訴する方針。 この女性は96年12月、かいたっくすの関連施設に入所。97年2月以降、施設側に「近くに身寄りがいない」と銀行 通帳と印鑑を預けていた。 女性の親族によると、原田氏はカリタスの家開設(98年9月)直前の97年10〜11月、預かった通帳と印鑑を使っ て、口座から2回にわたり無断で計900万円を引き出していた。一方、原田氏は97年10月から99年5月にかけて 「関連施設を生涯利用する契約料」として3回にわたり、無断で同じ口座から約350万円を引き出していた。 引き出された金は、事故で死亡した女性の家族の死亡保険金。親族側が原田氏に返済を求めたところ、今年6月末 になって900万円が返済された。しかし、残りの約350万円について原田氏は「生涯利用契約料だ」として返済を拒否 している。【虐待問題取材班】 2004/12/02 西日本新聞夕刊 入所者の預金流用 頴田町福祉法人 前施設長認める 900万円引き出す
元職員による利用者への虐待が発覚した福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」を運営する社会福祉
法人「かいたっくす」の原田芳枝常務理事(カリタスの家前施設長)が、同法人が北九州市で運営する施設の入所者の 女性から預かっていた預金通帳と印鑑を使って、女性の銀行口座から現金九百万円を引き出し、カリタスの家の建設 資金に充てていたことがわかった。原田常務理事の長男でカリタスの家の原田秀樹施設長が二日、会見し明らかにし た。カリタスの家は全額を返済している。 原田施設長は「九百万円は利用者から借りたと認識している。女性の了承があったかどうかは常務理事に確認しな いと分からない」と語った。 施設長によると、女性は九六年十二月、かいたっくす運営の施設に入所。九七年二月以降、「近くに身寄りがいない」 との理由で施設に通帳と印鑑を預けていた。原田常務理事はカリタスの家の開設(九八年九月)前の九七年に計九百 万円を引き出した。 女性はその後、カリタスの家を経て別の施設に移った。移った先の施設が通帳を調べて引き出しの事実がわかり、 今年六月、カリタスの家に返済を求めた。 原田常務理事はほかにも、この女性の口座から「関連施設を生涯利用する契約料」の名目で約三百五十万円を引 き出しており、これの返済は「現在検討中」という。 届かない悲鳴:施設虐待の深層 「カリタスの家」前施設長、福祉基金も解約し転用
◇流用金返済に900万円
福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」の原田芳枝前施設長が、関連施設の入所者の預金 を流用していた問題で、保護者が入所者の将来のために積み立てている福祉基金が解約され、流用金900万円の返 済に充てられていたことが分かった。同基金は、2年前に関連施設であった転落死亡事故の賠償金にも転用されてい た。相次ぐ資金流出で基金は破たんしており、一連の虐待問題のほか、ズサンな資金管理の実態が浮き彫りになっ た。【虐待問題取材班】 ◇保護者の積み立て、底つき破たん カリタスの家などによると、福祉基金は02年、施設としての経済的な基盤強化や、身寄りがいなくなった場合などの 入所者の生活安定を目的に設置された。保護者がそれぞれの家庭事情に合わせ、数万〜数百万円を積み立て、一 時は千数百万円に達した。 ところが昨春、原田氏が関連施設の女性入所者の預金口座から、本人らに無断で計900万円を引き出して流用して いたことが発覚。この金を「カリタスの家」の建設資金に使っていた原田氏は、女性側と今年6月末までの返済を約束し た。 6月下旬になって、原田氏は、カリタスの家の運営母体「かいたっくす」常務理事として保護者を集めた席上「建設資 金に借りていた900万円を急きょ返さないといけなくなった」として、福祉基金の利用に言及。基金の規約上「かいたっ くす」にしか貸し出せないため「(保護者に)積立金をいったん解約してもらい、私(原田氏)個人に貸してほしい」と訴え た。 参加した十数人の保護者のうち、一部から「他の施設の入所者への借金返済のために、我々が犠牲になるのはお かしい。納得できない」という内容の反論もあったという。しかし、結局は大半の保護者が基金への積立金を解約したう えで原田氏に貸していた。 さらに02年には、関連施設の男性入所者が行方不明になり、施設側がよく捜さないまま転落死した事故も発生。原 田氏は家族への賠償金(300万円)も取り崩した基金で支払っていた。 相次ぐ積立金の解約に、基金はほぼ底をついている。善後策もないまま「入所者の将来を保障する」との理念は宙に 浮いた形だ。 原田氏は「保護者にも理解してもらっているし、規約上、問題ない」と説明している。 福岡県監査保護課は「施設運営費ではないので、監査の対象外で盲点だ。問題がないか今後、調査する」と話して いる。 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/04/20041204ddg041040001000c.html 届かない悲鳴:施設虐待の深層
◇なぜ虐待したの…小中学生が「質問状」−
−「幸せ願い寄付したのに」 福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題にショックを受けた小中学生8人が 4日、同施設を運営する社会福祉法人「かいたっくす」(同町)へ、虐待に至った経緯を問う内容の作文を郵送した。子 どもたちは今夏、町内活動で得た収益金の一部を同施設に寄付しており、作文には「『幸せになって』と願いを込めた 寄付金なのに、なぜ?」などの素朴な疑問や怒りなどが切々とつづられている。【虐待問題取材班】 8人は、同県飯塚市のNPO法人「わいわいキッズいいづか」(林京子代表、約600人)に所属。日ごろ、演劇などの 舞台芸術に触れたり、体験活動やボランティア活動などを行っている同市や同県穂波町、筑穂町などの小学6年〜中 学3年生。 地域活動の一環として、毎年7月、飯塚市本町商店街で「子ども夜市」を開いている。3年前からは、自分たちの手作 りの品々を持ち寄って販売し、売上金の一部を福祉施設に寄付してきた。 今夏も、自ら採集したクワガタやカブトムシ、手作りクッキーやビーズのネックレスなどを販売。収益金の中から「カリ タスの家」など4施設に、それぞれ1万円ずつ寄付した。 カリタスの家には、子どもたち15人が8月18日に寄付金を手に訪問。原田秀樹施設長や職員らの、重度の知的障 害者への接し方や理念に感動し、障害者に対する理解を深めてもらう活動を模索するようになっていた。今月11、12 日に福岡市内である「日本子どもの虐待防止研究会」で、同施設の現状などについて報告することにしていた。 その矢先の虐待問題。メンバーの中3男子が「自分たちに何かできないか」と5人を招集した。碓井町立碓井中1年、 高津玲美さん(13)が「虐待は決して許せないが、入所者や家族のことを考えると、施設側に私たちの思いを伝えるべ きでは」と提案。寄付したことに責任を感じている子もおり、施設側に自分たちの率直な思いを知ってもらおうと、作文 にしたという。 「(施設側は)入所者や家族の苦しみを全然分かっていない」「人間は皆平等のはずなのに虐待はなぜ起きたの」「設 立理念や目的はなぜ生かされないの」など、心情がつづられている。 -------------------------------------------------------------------------------- 平成16年12月05日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/05/20041205ddm041040097000c.html 毎日新聞 2004年12月5日 東京朝刊 カリタスの家・入所者預金流用: 基金解約、流用金900万円返済に使う 前施設長
福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」の原田芳枝前施設長が、関連施設の入所者の預金
を流用していた問題で、保護者が入所者の将来のために積み立てている福祉基金が解約され、流用金900万円の返 済に充てられていたことが分かった。同基金は、2年前に関連施設であった転落死亡事故の賠償金にも転用されてい た。相次ぐ資金流出で基金は破たんしている。 カリタスの家などによると、福祉基金は02年に設置され、一時は千数百万円に達した。 昨春、原田氏が関連施設の女性入所者の預金口座から無断で計900万円を引き出して流用が発覚。この金を「カリ タスの家」の建設資金に使っていた原田氏は、女性側と今年6月末までの返済を約束した。 6月下旬になって、原田氏は、カリタスの家の運営母体「かいたっくす」常務理事として保護者を集め「建設資金に借 りた900万円を返さないといけなくなった」として、福祉基金の利用に言及。規約上「かいたっくす」にしか貸し出せない ため「(保護者に)積立金をいったん解約してもらい、私に貸してほしい」と訴えた。大半の保護者が基金への積立金を 解約したうえで原田氏に貸した。【虐待問題取材班】 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/05/20041205ddp041040010000c.html 毎日新聞 2004年12月5日 西部朝刊 届かない悲鳴:施設虐待の真相 虐待、初の総合調査へ − 淑徳大
◇職員聞き取り、市民アンケも − 具体的防止策を提起
福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」の虐待問題が明るみに出る中、社会問題化している
児童、高齢者、障害者らへの虐待の背景分析と被害防止を目的に、淑徳大大学院(千葉市)の野田陽子教授(社会病 理学)を中心とする研究グループが、本格的な調査に乗り出す。今後、施設職員ら関係者からの聞き取りや市民アン ケートなども実施。結果を分析したうえで、具体的な防止策を厚生労働省などに提起、福祉施策に反映させる。虐待に 関する総合的な調査は全国で初めて。 調査は、専門的な立場から虐待やDV(ドメスティック・バイオレンス)などに至るメカニズムを解明したうえで、防止策 や被害者の心のケア、救済のあり方を関係機関に報告し、増加に歯止めをかけるのが狙い。 既に、臨床心理学や社会学、社会福祉学など専門の教授や講師約20人を中心に「子ども虐待」「高齢者虐待」「D V」「(福祉施設など)専門職による虐待」の4研究班を設置。事前調査として今年4〜5月、淑徳大のほか、早大や中央 大など首都圏の計11大学の学生約2500人を対象に「親密な関係における暴力調査」と題するアンケートを実施。 「親からの暴力の有無」「DV経験」などを尋ねた。 2248人が回答した調査結果によると「悪いことをした人物に対する暴力」は全体のほぼ半数が肯定。「しつけのた めに子どもをたたく」も4割が肯定するなど、「虐待に対し批判的な世論にあって、若者の中に肯定派が目立ったのは 意外な傾向だった」(野田教授)という。 研究グループは、虐待の具体的なケースについて、各班が事件の当事者や相談員ら関係者から事情を聴くととも に、来年2月上旬、千葉県民3000人にアンケートを行い、虐待やDVなどに至るまでの心の動きや背景、原因を詳細 に分析。そのうえで来年9月までに、最も効果的とみられる施策をまとめる。 野田教授は「虐待の形態によって、対処の仕方が異なる。人はなぜ、暴力に走るのか、発生のメカニズムを総合的 に調査し、早急に原因を解明したい」と話している。【虐待問題取材班】 平成16年12月09日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/09/20041209ddp041040013000c.html 毎日新聞 2004年12月9日 西部朝刊 届かない悲鳴:施設虐待の深層 背景/中 カリタスの家、資金調達へ奔走
◇子供「人質」家族に強腰
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」の虐待問題の背景には、重度の障害をもつ子供を抱え、沈黙
せざるを得ない家族の存在と、それを逆手にとった資金調達への奔走ぶりも見え隠れする。【虐待問題取材班】 「私は壊れそうです。娘も壊れそうです。助けて下さい」「(入所が許可され)母子心中しなくてすむ。娘を殺さなくてす む」 開設3周年の記念誌に寄せた母親の手記からは、度重なる入所拒否の悲哀や、施設にすがる思いが伝わってくる。 さらに、入所してもいつ退所させられるか分からないという不安もつづられている。「年度末になると親は戦々恐々とな る。肩たたきである。電話が鳴るたび動悸(どうき)がし、郵便受けで封書を見ると心臓が凍りつく」 「ここから出されたら、ほかに行く所がない」。“人質”を取られた家族は、虐待の疑いや処遇上の問題を感じても、遠 慮してなかなかモノを言えない。そんな両者の力関係を、運営母体の「かいたっくす」常務理事で、「カリタスの家」の実 権を握る原田芳枝前施設長は最大限に利用した。 障害者がサービスを選び施設側と直接契約する支援費制度への移行(03年施行)を前に計12回開いた保護者対 象の研修会。原田前施設長は案内文で「3回以上出席しないと、来年度よりの利用は無いものとする」と“宣言”。以 後、随所に本音をちらつかせるようになる。 「(我々の)体制に不満のある人とは契約できない。親としてのエゴに注意していただく」(02年10月13日) なりふり構わぬ資金要求は職員給与の肩代わりにまで及んだ。原田前施設長は同年10月に「障害の状態では、職 員人件費の一部を負担していただく」と主張。職員の冬のボーナス支給のメドが立たなかったからだが、一方で「負担 したからといって要望が強くなると、よい療育はできない。(契約を)お断りすることもある」とクギを刺してもいた。 支援費制度の導入で、入所者側が施設を選べるようになり、サービスと入所者の権利意識の向上が期待されてい る。が、家族側の沈黙は今も続いている。 ◇ ◇ 「カリタスの家」の虐待問題が8日の福岡県議会代表質問で取り上げられた。公明党の新開昌彦議員が「(虐待の)う わさは以前からあり、市民オンブズマンが調査するよう求めていた。なぜ把握出来なかったのか」と追及した。 これに麻生渡知事は「3月以降、施設長らから事情を聴くなどしてきたが、把握するまで至っていない。今後事実関係 を解明したい」と答えた。 同党の北原守議員団長は「県は暴行の事実が明らかになれば行政責任が問われると恐れているのだろうが、徹底 究明しなければならない」と話している。 頴田町の障害者施設虐待問題で県が特別監査
頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で、職員が入所者に紙を食べさせていたことなどが明らかになった問
題で、県は九日午前、同施設に対し、社会福祉法に基づく特別監査に入った。 県は先月三十日、立ち入り調査を実施し、施設長らから事情を聞いたが、虐待の事実は確認できなかった。今回は 職員や保護者らからも事情を聞き、虐待の有無を調べる。事実が確認された場合は改善命令を出す。 同施設では、元職員が入所者に対し、消毒などに使う木酢液をかけたり、キャラメルの包み紙や唐辛子を食べさせ たりしていたことなどが発覚している。 平成16年12月10日 http://kyushu.yomiuri.co.jp/ar2000/frar2000.htm 頴田の施設虐待問題で北九州のNPOが県に正常化要望
頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で職員が入所者に紙を食べさせていたことなどが明らかになった問題
で、北九州市のNPO法人「人権オンブズ福岡」(貞池和生代表)は一日、施設の正常化を求める要望書を県保健福祉 部に提出した。 要望書では、県の対応の遅れを批判し、運営正常化のため、運営主体である社会福祉法人「かいたっくす」の理事 会を解散させるよう求めている。 筑豊 ニュースと話題 2004.12.10 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/10/20041210ddp041040013000c.html 毎日新聞 2004年12月10日 西部朝刊 福岡・カリタスの家、組織的虐待疑い 県が特別監査
福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で発覚した虐待問題で、福岡県は9日、組織的に行
われた疑いがあるとして特別監査に乗り出した。関係者からの事情聴取や帳簿類などを確認、全容解明を急ぐ。県は 先月30日、同施設を立ち入り調査したばかり。 この日、県は原田秀樹施設長や原田芳枝前施設長らから改めて事情を聴いたほか、帳簿類を確認。また、入所者 の保護者や元職員ら30人以上から、虐待や施設の資金上の問題などについて聞き取り調査した。 特別監査は9時間以上に及んだ。 平成16年12月11日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/11/20041211ddp041070004000c.html 毎日新聞 2004年12月11日 西部朝刊 届かない悲鳴:施設虐待の深層 背景/下 行政、ズサン対応
◇指導要請も「なしのつぶて」
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で発覚した虐待問題。指導すべき立場の行政はなぜ見抜けな
かったのか。 虐待問題が取り上げられた8日の県議会代表質問。「(虐待を)把握するまでに至っていません」という麻生渡知事の 答弁に、虐待問題に関心を持って傍聴に訪れた男性は耳を疑った。「原田秀樹施設長自ら記者会見で虐待の事実を 認め、謝罪しているのに……」 入所者の父親も「暴走を許した自らの責任を放棄する答弁」と知事の姿勢に憤った。 暴力に抗議して辞めた元職員や虐待を疑っていた保護者らに共通するのが、こうした県への不信感だ。これまで何 人もの関係者が県に実情を訴えたが「改善されることはなかった」と口をそろえる。NPO法人「人権オンブズ福岡」も今 年3月以降、再三処遇面への指導を県に求めていたが「なしのつぶて状態」(貞池和生代表)だった。 さらに、県側には虐待の事実を記述した資料も渡っていた。カリタスの家の運営母体「かいたっくす」の理事会議事 録。00年3月25日版では理事が「見えない所で日常的に(暴力は)行われていると思う。指導が必要」と指摘してお り、十分チェックが可能だったはずだ。だが、問題発覚後、県側は「情報も告発もなく動きようがなかった」と、責任逃れ ともとれるコメントをしている。 今回の虐待発覚まで、県障害者福祉課の担当者はカリタスの家を「重度の人たちを積極的に受け入れる立派な施 設」と評価。一方、原田施設長も「監査では、いつも礼を言われる。県からは感謝されている」と胸を張っていた。 行政と施設の“なれ合い”ともとれる構図だが、県関係者は打ち明ける。「どんなに重度でも受け入れ可能な施設はこ こだけと言っていい。受け入れ先の拡充に消極的な県の怠慢もあり、便利な施設に強くは言えない」 「施設内虐待」の著書がある、茅ケ崎リハビリテーション専門学校教員の市川和彦さん(44)は「県のズサンな対応が 虐待の温床を招き、関連施設での死亡事故や施設内感染につながったのでは。県も責任を問われるべきだ」と指摘し ている。【虐待問題取材班】 平成16年12月15日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/15/20041215ddg041040007000c.html 毎日新聞 2004年12月15日 西部夕刊 県の対応に批判続々 県議会委員「調査能力に疑問」
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」の虐待問題が15日、福岡県議会厚生環境委員会で取り上げ
られ、県の対応に各委員から厳しい意見が相次いだ。 県の説明によると、計6回にわたり施設長らから事情を聴いた。しかし、虐待については物証が乏しく、確認には至ら なかった。 これに対し、大城節子委員(公明党)は「保護者から、虐待の訴えが我々に寄せられている」としたうえで、苦情処理 制度の無機能ぶりを指摘。堀宏行委員(緑友会・新風)らは「実態を把握する気があるのか」「担当者に調査能力があ るのか疑問だ」などと追及した。 これに対し、田中博幸・障害者福祉課長は「元職員や保護者、元入所者ら100人以上から事情聴取するが、既に6 割は終了した。特別監査中であり、事実解明を急ぎたい」などと答えた。【虐待問題取材班】 平成16年12月18日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/18/20041218ddp041040003000c.html 毎日新聞 2004年12月18日 西部朝刊 届かない悲鳴:施設虐待の深層 入所者を袋詰めし放置、数年前から恒常化
◇「パニック状態対処」別室に、夜通しも カリタスの家
虐待問題に揺れる福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で、20代の女性入所者がパニック
状態になるたびに寝具用の袋に詰め込まれ、別室に数時間から一晩、放置されていたことが分かった。“袋詰め”は数 年前から恒常的に行われており、多くの職員が疑問を感じながらも、パニック時の対処法が分からず黙認していた。同 施設のズサンな処遇ぶりと、福岡県など行政のチェック態勢の甘さが改めて浮き彫りになった。 関係者の証言などによると、この女性入所者は、他人の頭などをたたく他傷行為のほか、不眠症などの睡眠障害も ある。深夜に大声を上げて暴れることがよくあり、周囲の入所者が睡眠を妨害され相次いで暴れ出すという“パニック の連鎖”を引き起こしていた。 数年前の深夜、普段よりも女性のパニックがひどく、別の入所者も暴れ出すなどパニックが拡大。宿直職員は男女1 人ずつしかおらず、対応に苦慮してこの女性をとっさに袋に入れて口をひもでしばったという。 それ以前は、この女性がパニック状態になるたびに同室の入所者を別室に移したり、女性に睡眠導入剤を投与する などの対策を講じていた。しかし、効果はなかったといい、この時は緊急避難のためにやむを得ず取った措置だったと いう。 しかし、他の入所者の安眠が保たれてパニックがやんだうえ、職員の手をわずらわせることもなくなったことから、こ の後宿直職員らが女性がパニックになるたび“袋詰め”するようになったという。袋ごと部屋から30メートル以上離れた 洗濯物を干す部屋などに、女性が落ち着くまでの数時間から夜通し、放置していた。 袋の中で泣いて暴れる女性の姿を見るに見かねて、袋から出した職員もおり「虐待であり、やめるべきだ」と感じた職 員もいたが、これに代わる対処法が見当たらず、結果的に黙認していた。 袋は、縦横約150センチ大の厚手の布製。リネン業者が週1回、入所者の人数分のシーツや布団カバーなどを回収 する際などに使っている。【虐待問題取材班】 ◇福祉の資格ない− −知的障害者通所施設などを運営する社会福祉法人「昴」理事長で、 埼玉県立大の佐藤進教授(障害者福祉論)の話 薬を中心とした対応について、専門医に相談するなど十分なプロセスを経るべきだった。施設内で自己完結しようとし て行き詰まったのだろう。施設そのものに不適応な知的障害者もいるのに無理やり適応させようとするから、職員間に 無理、むちゃが出ることもある。福祉分野で働く人には、一線を決して越えない忍耐強さが求められる。それ(袋詰め) をやってしまったら、福祉施設でなくなるし、福祉に従事する資格もない。 届かない悲鳴:施設虐待の深層 自閉症者団体、県に防止策要請
「カリタスの家」の虐待問題で、福岡市の自閉症児者の支援グループ「自閉症児者の家庭療育を考える会TO
UCH(タッチ)」(大森博子会長)が17日、福岡県に施設の人事刷新や虐待防止策の強化などを要請した。
自閉症者も多い「カリタスの家」の問題について、要請では(1)県の管理体制と虐待防止策の強化(2)再発防止のた
め職員や家族らの報告義務を明確に定める−−など7項目を求めた。また、添付した意見書で「自閉症児者には専門 的知識や対応が不可欠だが(カリタスの家には)それらが大きく欠けている」と指摘した。 さらに、前施設長の原田芳枝氏が講演で「食事の時には全員がそろってから一緒に食べます。衝立(ついたて)で区 切った、狭い所で1人で食べたり、作業したりするのはかわいそう」と語ったことを問題視。「自閉症を理解していたら、 しないようなことを奨励している」としたうえで「騒々しい食堂で皆と一緒に食べることが苦手な人は多く、とてもつらいこ と。それぞれの障害の特性を知って、それに見合った援助をしなくてはならないが『カリタスの家』が実行しているのか 甚だ疑問」とした。 平成16年12月19日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/19/20041219ddp041040009000c.html 届かない悲鳴:施設虐待の深層
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、入所者らの家族が18日、2年前に解散
した保護者会の再建に向け準備会(岡崎務代表)を発足させた。「施設にものを言えば、いつ追い出されるか分からな い」との意見を踏まえ、施設から退所を迫られた場合「家族同士が結束し、施設に撤回させる」ことも決議した。年内に も施設を運営する法人の理事会や県に施設正常化などを申し入れ、年明けに保護者会を設立させる。 会合には家族24人が参加。「追い出されるという不安や弱みにつけこみ、虐待がまかり通るのは許されない」「(虐待 を)黙認してきた私たちにも問題がある」「職員の専門性のなさに危険を感じる」との意見が出た。 岡崎代表によると、98年の開設の翌年に保護者会が発足したが、保護者間で認識の違いなどが表面化、02年5月 に事実上解散。今年になって再生に向けた話し合いをしたが、再発足に至らなかった。 11月末以降、虐待に関する報道が相次ぎ、法務局や県も調査に乗り出すなど、施設をめぐるさまざまな問題が噴 出。保護者の間からも再結成を求める声が高まった。 岡崎代表は「施設は入所者、利用者のものである以上、親の立場から発言できる組織は絶対に必要。施設や理事 会、県に積極的に意思表示していきたい」と話している。【虐待問題取材班】 平成16年12月21日 12月21日西日本新聞朝刊 「頴田町の知的障害者施設視察」民主党議員団
元職員による施設利用者への虐待が明らかになった頴田町の知的障害更生施設
「カリタスの家」(原田秀樹施設長)を二十日、民主党の国会議員と地方議員ら 計十五人が視察に訪れた。 実態を把握し、党として障害者虐待防止の政策を練ることが目的。視察を終えた 中根康浩衆院議員は「職員の配置や業務内容などを聞いた。自治体の指導などで 不十分な面もうかがえ、現状認識をさせてもらった」と述べた。 平成16年12月23日 カリタスの家・虐待問題 福岡県へ改善要請−−自閉症協会九州協議会
福岡県頴田町の「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、自閉症児者の親らでつくる日本自閉症協会九州協議会(河野
京次会長)が22日、福岡県へ実態の早期解明と改善を要請した。 日本自閉症協会(東京、会員約1万2400人)は全国に49の支部があり、うち九州8県支部で九州協議会を組織し ている。自閉症者を多く受け入れている「カリタスの家」での虐待が発覚して以降、全国から協会に早急な対応を求め る声が殺到したため、地元協議会として要請した。 河野会長ら3人が、県障害者福祉課を訪れた。虐待に「怒りを禁じ得ず、利用者に不安と不快の念を抱かせている」 とし「虐待実態の速やかな把握と改善」を訴えた。 日本自閉症協会の矢鋪(やしき)渉理事は「県の対応への不満が全国に広がりつつある。それを払しょくするために も入所者の立場に立った指導力を発揮すべきだ」と話している。【虐待問題取材班】 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/30/20041230ddp041040002000c.html 毎日新聞 2004年12月30日 西部朝刊 届かない悲鳴: 施設虐待の深層 3年で22職員退職、入所者の状態把握に支障
◇虐待の背景に
福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、6年前の同施設開設直後から 職員が定着せず、過去3年間で22人が退職していることが分かった。直接入所者にかかわる職員は通常約20人で、 3年間でほぼ全員が入れ替わった形。退職者が出る度、求人を繰り返しているが、専門家は「これでは個々の入所者 の状態を把握出来ず、施設の体を成しているとは思えない。“素人集団”が虐待の生まれる背景でもある」と指摘して いる。 関係者によると、98年の開設当初、利用者47人(入所34人、通所10人、短期入所3人)に対し、職員は約20人い た。その後、次第に退職者が目立つようになり、02年に5人▽03年8人▽04年は12月20日現在で9人が退職し た。過去3年間で退職者は計22人に達している。 退職理由の多くは原田秀樹施設長の施設運営や給与への不満、複数の虐待職員の存在など。 今年に入って退職した20代の女性は「相次ぐ虐待を施設幹部に抗議しても変わらなかった。入所者に申し訳なく悩 んだが、耐えられなかった」と話す。3年前に退職した30代の男性は「利用者を軽んじる施設長の施設運営に納得い かなかった」と打ち明けた。 同施設は退職者が出るたび、社会福祉協議会主催の就職説明会などに参加。求人を呼びかけ、新卒者や転職者を 採用しているが、専門知識や経験が豊富な人からの応募はほとんどないという。 原田施設長は「職員の定着が求められていることは理解しており、どこかでメスを入れるべきだが、これだけきつい 職場で、給料も安いとなると、なかなか思うようにはいかない」と話している。【虐待問題取材班】
◇「最悪の状態」
−−障害者施設の事情に詳しい河東田博・立教大コミュニティ福祉学部教授(障害者福祉)の話 これほど退職者が相次ぐと、職員は右往左往するばかりで、施設内はまるで素人がかかわっているような状況だろ う。このため虐待が再生され、入所者の障害はますます悪化する。最悪の状態だ。 平成16年12月27日 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/27/20041227ddp041040010000c.html 福岡・障害者虐待 内部調査報告で、暴力行為認める−−カリタスの家
福岡県頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題について、運営母体の社会福祉法
人「かいたっくす」(滑石(なめらいし)七五三夫( しめお )理事長)は26日、理事会を開き「暴力行為の一部が認めら れ、再発防止策をまとめる必要がある」との内部調査結果が報告された。 関係者によると、調査委員会は理事4人で構成。職員や元職員らに、アンケートを行うとともに聞き取り調査した。 その結果、入所者の腹部を殴ったり、袋詰めにするなどのほか、菓子の包装紙を食べさせるなどの暴力行為が確認 された。しかし「入所者の特定ができない」などのケースが目立ったり、原田芳枝常務理事による入所者の預金流用を 継続調査とするなど、内部調査の限界も露呈した。 一方、滑石理事長と原田常務理事は理事会の席上、引責辞任を表明し、次回理事会で承認される見通し。 平成17年1月1日 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050101k0000m040089000c.html 虐待: 「カリタスの家」施設長らを告発へ 福岡法務局 ![]()
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で職員らが入所者にやけどを負わせたり、暴行を加えるなどの
虐待を繰り返していた問題で、福岡法務局は人権侵犯の疑いが極めて強いとして、原田秀樹施設長(49)と元職員の 計2人を傷害容疑で捜査当局に刑事告発する方針を固めた。別の職員による腹部への殴打や袋詰めなどの虐待も明 るみに出ており、同法務局はこれらについても告発を検討している。 福岡法務局は虐待に関する情報が寄せられた昨年10月以降、原田施設長をはじめ、職員や元職員、保護者らから 事情聴取してきた。関係者によると、調査で施設長ら複数の職員が入所者を殴ったり、唐辛子や木炭を食べさせるな どの虐待を繰り返していたことを突き止めた。法務省と協議の末、特に悪質な2件について「刑事責任を問う必要があ る」と判断した。 刑事告発するのは(1)03年12月、原田施設長が男性入所者に沸騰した湯でいれたコーヒーを3杯飲ませ大やけど を負わせた暴行(2)02年5月、男性職員(その後退職)が男性入所者の下半身を2、3回けり上げるなどした暴行− −の2件。いずれも重傷を負って病院に搬送されており、近く法務省や捜査当局と告発に向け最終調整する。 原田施設長は毎日新聞の取材に「(コーヒー好きの入所者が)決められた時間でないのに激しくコーヒーを求めるの で、(味が)まずいと思わせるために、熱湯でいれた。明らかに失敗だったが、虐待とは考えていない」と釈明。元職員 も「(入所者の)パニック状態を鎮めるため、暴力に走ってしまった」と話し、いずれも暴行の事実を認めている。 同施設の虐待問題については、福岡法務局が昨年11月26日、立ち入り調査した。県も同11月30日に立ち入り調 査、12月9日には特別監査に乗り出した。運営母体の社会福祉法人「かいたっくす」理事会も「暴力行為が認められ、 再発防止策が必要」との調査結果をまとめている。
カリタスの家は98年9月に開設。利用者は男女46
人で、うち入所34人、通所10人、短期2人。【虐待問題取材班】 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/01/01/20050101ddp041040010000c.html 解説:福岡・障害者虐待 「カリタスの家」刑事告発へ
◇背景に貧しい福祉制度…沈黙強いられる親たち
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、福岡法務局が刑事告発する方針を固め
た背景には、全国で相次ぐ施設内虐待に歯止めをかける狙いもある。 近年、知的障害者への虐待が次々に発覚。逮捕者も出ているが、後を絶たないのは、指導すべき立場にある行政 のチェック機能の欠落と「出ていけと言われたらほかに行くところがなく、沈黙せざるを得ない」という家族側の事情もあ る。 さらに先月末、検察側が園長に懲役3年を求刑した知的障害者更生施設「みひかり園」(鹿児島県串良町)事件で は、被害者本人の証言能力に限界が認められたり、目撃者の記憶のあいまいさなど、立証するうえでのさまざまな 「壁」も浮き彫りになった。 今回、福岡法務局は「みひかり園」事件の経験も踏まえた。立ち入り調査に着手するまでの数カ月間、関係者への事 情聴取を慎重に進める一方で、入所者が治療を受けた病院側にも協力を要請。暴行直後の被害者の写真や診断書 なども入手、暴行の日時や状況を詳細に確定していった。 刑事告発する方針を固めた2件は「いずれも極めて悪質」と判断したが、他の虐待事案についても告発を検討してい る。 今回の一連の虐待問題が契機となって、衆参国会議員らが「障害者虐待防止法」の議員立法を目指して協議を始め た。日本自閉症協会など多くの障害者支援団体も国や県に申し入れを行うなど、虐待防止に向けた動きが顕在化して きた。この動きに後押しされる形で「カリタスの家」の親たちは「勇気を出して、我々の声を施設運営に生かそう」と近く 保護者会を結成する。 しかし、虐待の背景にある根本的な問題は、我が国の貧しい福祉制度だ。一昨年、支援費制度が導入され、入所者 側は施設やサービスを選べるようになったが、肝心の施設の数は少なく、利用する側にとって何ら変わらないのが実情 だ。虐待根絶を目指すため、親の「勇気」を必要としないシステム作りが早急に求められている。【虐待問題取材班】 平成17年1月13日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/01/13/20050113ddp041040015000c.html 福岡・障害者虐待 虐待防止へ研修会開催、160人が参加 −県知的障害施設協
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題を受け、県知的障害施設協議会(田島茂会
長)は12日、県内の施設の施設長ら約160人を緊急招集、虐待防止に向けて同県春日市内で研修会を開いた。 同協議会は県内174の知的障害者更生施設などで構成され、施設運営や処遇面などの情報交換、研修などを行っ ている。昨年11月末以降、会員でもある「カリタスの家」で虐待が相次いで発覚した。田島会長は「カリタスのケースは 極めて悪質だが、同様のことがないよう、他施設においても職員への人権教育が不可欠」と判断した。 講師は、企業や福祉施設のコンプライアンス(法令順守)問題に詳しい篠木潔弁護士(県弁護士会所属)。虐待の背 景には、閉鎖的な環境やコンプライアンスの希薄性などがあるとして「虐待は犯罪との認識を職員に徹底させ、入所者 を呼び捨てにするなど(虐待の)温床が潜んでいないか検討すべきだ」と力説した。【虐待問題取材班】 平成17年1月16日 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/01/16/20050116ddp041040008000c.html 保護者会を再結成 施設側の責任巡り、一時騒然 カリタスの家
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、入所者らの家族が15日、2年半前に解
散した保護者会を再結成した。再結成に向けた会合では、施設側の責任をめぐってやじや罵声(ばせい)が飛び交うな ど一時騒然としたが、今後、施設再建に向け県に指導力の強化を求めていくことを決めた。 会合には13人が参加した。複数の保護者によると、冒頭から施設側を擁護する意見が相次ぎ「現経営陣は総退陣 すべきだ」といった施設運営に批判的な保護者に対して罵声を浴びせるなど、一時大混乱した。 しかし、保護者会を再結成することで結局意見が一致。会長選が行われ「県に強力な指導を求めるとともに、心ある 重度障害者団体と協力しながら施設再建を進めるべきだ」と主張した岡崎務・保護者会準備会代表が「現経営陣をも り立てよう」と訴えた別の保護者を1票差で破り選出された。 岡崎会長は「退職する職員が続出し、施設内で職員を見 つけるのに一苦労する。施設の管理はボロボロだ。虐待問題と合わせ、職員の補充、配置も県に訴えたい」と話した。 【虐待問題取材班】 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/01/20/20050120ddp041040008000c.html 福岡・障害者虐待 「カリタスの家」保護者会、県に改善要望書
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」をめぐる虐待問題で、保護者会(岡崎務会長)は、同県に対し
事態の早急な改善を求める要望書を提出した。 要望書では「施設に対する指導方針を明らかにしてほしい」として (1)虐待に対する認識 (2)虐待を招いた要因と職員が定着しない現状への見解 (3)今後の対策 −−などを県が保護者側に公開するよう求めている。 一方、虐待問題が19日、県議会厚生環境委員会で取り上げられた。 県側答弁によると、特別監査に乗り出した昨年12月9日以降、今月18日まで計7回にわたって職員や元職員、保護 者ら約200人を事情聴取した。一連の虐待のほか、不明朗なカネの流れについても6年前の開所当初にさかのぼって 調べており、千田透・監査保護課長は「必要に応じて再調査を行うなど、早期に実態解明する」と話した。【虐待問題取 材班】 平成17年2月05日 http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/20050205/news002.html 西日本新聞夕刊 入所者虐待 「カリタス」改善指導へ 福岡県、「不適切行為」と認定 福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で入所者が虐待を受けたとされる問題で特別監査を実施した 同県は五日、入所者に炭や唐辛子を食べさせるなど「不適切な行為」があったと認定したことを明らかにした。県は、 施設を運営する社会福祉法人「かいたっくす」(滑石七五三夫(なめらいししめお)理事長)に対し、社会福祉法に基づ いて改善指導し、責任の明確化や経営体制の刷新など再発防止策の確立を求める。 「不適切な行為」と認定したのは(1)炭や唐辛子、菓子の包み紙を食べさせた(2)熱湯で入れたコーヒーを飲ませ、 口や食道にやけどをさせた(3)消毒用の木酢液を顔にかけた―など五件。いずれも複数の証言をもとに「日時や回数 は特定できないが、人権を侵害する行為が行われていた可能性が高い」としている。 県は社会福祉法に基づき昨年十二月から特別監査を実施。一月末までに職員や保護者ら百数十人に事情聴取した 結果「大半のケースは利用者が暴れるなどしていたときに行われており、虐待といえるかはっきりしない」と判断。しか し、家族や職員から苦情が寄せられながら、施設側が解決に向けた取り組みを行わず、事実上容認してきたことを重 視し「運営体制に問題があった」と結論づけた。 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/02/05/20050205ddp041040005000c.html 福岡・障害者虐待: 「カリタスの家」虐待、県が認定 保護者ら、安どの表情
◇「ようやく改善の兆し」
「ようやく改善の兆しが見えた」。知的障害者更生施設「カリタスの家」(福岡県頴田町)の虐待問題で、県が運営体制 の抜本的刷新のほか、再発防止策の確立など改善指導する方針を固めたことに、保護者らは一様に安どの表情を浮 かべた。 虐待問題をテーマに障害者の権利擁護のシンポジウムを3月に県内で開催することも決まるなど、施設の内外で、虐 待に歯止めをかける動きが本格化する。 先月中旬、2年半ぶりに再結成した保護者会の岡崎務会長は「県に対し、早急な改善を要求してきただけに誠に有 難い」とホッとした表情。入所者の母親も「子供を“人質”に取られている以上、施設や県には何も言えなかった。改善 の兆しが見えたようだ」と目に涙を浮かべた。 ただ、岡崎会長は「現時点では施設内は何も変わっておらず、人が変われば、良くなるという保証もない。一抹の不 安もある」とも。「我々保護者も協力しながら事態を見守っていきたい」と気を引き締めた。 保護者会は「今回の虐待問題を重度障害者の権利擁護を考える契機にしたい」と県内の複数の障害者団体と協力。 3月5日、同県直方市でシンポジウムを開催することを決め、岡崎会長もパネリストとして参加する。 一方、県の指導を予期していたのか、職員や法人理事らは処分内容を冷静に受け止めた。 「カリタスの家」を運営する社会福祉法人「かいたっくす」の理事の一人は「理事会の無機能ぶりはご指摘の通りだ」と 認めたうえで、「責任を取って身を引くべきだと感じている」と打ち明けた。「カリタスの家」職員も「厳しい処分は当然で しょう」と肩を落とし、「我々が虐待を防げなかったのは事実。私自身、木酢(もくさく)液を入所者にかけたこともある。 本当に申し訳ないことをしたと反省している」と言葉少なに語った。【虐待問題取材班】 西日本新聞 入所者虐待 「カリタス」改善指導へ
福岡県、「不適切行為」と認定
福岡県頴田町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で入所者が虐待を受けたとされる問題で特別監査を実施した
同県は五日、入所者に炭や唐辛子を食べさせるなど「不適切な行為」があったと認定したことを明らかにした。県は、 施設を運営する社会福祉法人「かいたっくす」(滑石七五三夫(なめらいししめお)理事長)に対し、社会福祉法に基づ いて改善指導し、責任の明確化や経営体制の刷新など再発防止策の確立を求める。 「不適切な行為」と認定したのは(1)炭や唐辛子、菓子の包み紙を食べさせた(2)熱湯で入れたコーヒーを飲ませ、 口や食道にやけどをさせた(3)消毒用の木酢液を顔にかけた―など五件。いずれも複数の証言をもとに「日時や回数 は特定できないが、人権を侵害する行為が行われていた可能性が高い」としている。 県は社会福祉法に基づき昨年十二月から特別監査を実施。一月末までに職員や保護者ら百数十人に事情聴取した 結果「大半のケースは利用者が暴れるなどしていたときに行われており、虐待といえるかはっきりしない」と判断。しか し、家族や職員から苦情が寄せられながら、施設側が解決に向けた取り組みを行わず、事実上容認してきたことを重 視し「運営体制に問題があった」と結論づけた。 平成17年2月09日 http://kyushu.yomiuri.co.jp/nsurf/nsurf40t/nsu40t02/nsu40t0209f.htm 読売新聞 筑豊 ニュースと話題 2005.2.9 頴田の「カリタスの家」虐待問題〜運営法人に改善指導
頴田(かいた)町の知的障害者更生施設「カリタスの家」で、職員が入所者に紙を食べさせるなどした問題で、特別監
査した県は八日、一部職員が不適切な行為をした疑いが強いとして、施設を運営する社会福祉法人「かいたっくす」 (滑石(なめらいし)七五三夫( しめお )理事長)に改善指導した。 監査結果によると、職員八人が入所者に熱いコーヒーをかけてやけどさせたり体をたたいたりしたほか、リネン袋に 入れるなどの行為をしていた疑いが強まった。入所者、職員ら約二百人から事情聴取し、そうした証言を多数得た。県 は数年前から続いていたとみており、施設が容認していたと判断した。 改善指導では、法人・施設運営体制の抜本的な刷新や、再発防止策の確立を要求した。 また、県は同法人に県自閉症・発達障害支援センターの運営を委託しているが、早急に委託先の変更を含めた検討 を行う。 平成17年2月12日 [毎日新聞] 福岡・障害者虐待: 「カリタスの家」問題受け、研究会を18日に発足へ −厚労省 ◇障害者虐待に歯止めを−−関係団体、保護者、識者で構成
知的障害者更生施設「カリタスの家」(福岡県頴田町)をめぐる虐待問題をきっかけに、厚生労働省は障害者団体の代
表や保護者、学識者らで構成する研究会を18日に発足、防止策を検討することを決めた。10日の閣議後会見で尾 辻秀久厚労相が明らかにした。 「カリタスの家」については毎日新聞の報道を契機に福岡県が今月8日、運営する社会福祉法人「かいたっくす」に対 し、改善指導したばかり。尾辻厚労相はこの問題に触れ「福岡での不祥事は大変気にしていた。再発防止をすること が極めて重要と考える。速やかに対応ができないか検討の指示をしている」と述べた。厚労相は「カリタスの家」を視察 したいとの意向を示しており、日程調整を進めている。 障害者虐待は障害者施設で相次いでおり、政府は10日に閣議決定した「障害者自立支援法案」の中で、法的には初 めて市町村の責務として「障害者に対する虐待の防止、発見のために関係機関と連絡調整を行うこと」を明記した。 「カリタスの家」をめぐる虐待問題では、6年前の開設以降、職員が入所者に暴行を加えたり、熱湯でいれたコーヒーを 飲ませヤケドを負わせるなどの虐待を繰り返していたことが発覚。布団袋に体ごと放り込んで放置したり、炭や唐辛子 を食べさせるなどの嫌がらせも表面化した。 福岡法務局が傷害容疑での刑事告発を視野に立ち入り調査に乗り出し、福岡県も8日、法人理事の総退陣など運営 体制の抜本的刷新を求めて改善指導した。 また、衆参の国会議員が虐待問題の解決に向け、超党派による「障害者虐待防止法」の議員立法を目指して動き始 めており、日本弁護士連合会も行政から独立した救済機関の設置を盛り込む虐待禁止法の必要性を訴えている。 [毎日新聞 2005年2月12日]
![]()
|