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以下は毎日新聞東京朝刊に7月3日より7月3日にかけて連載された 「うちの子〜自閉症児とその家族」1〜5の写しです。 KENママを知らなかったら見過ごしてしまったかも知れない記事。 KENママたちの置かれた状況を少しでも理解したくて読みました。 でも、この記事が自閉症児とその家族の現実の全てを伝えているとは思わないでほしい。 自閉症児を抱える記者だから、こういう記事を書けたのだと思う。でも、まだまだ、そんなものじゃない。 そんなものじゃないから悲しいのです。 もう一つ下の記事に生活保護費と国民健康保険(国保)の国庫補助率を大幅に引き下げとあります。 役人の考えの非情さに単純さに怒りの声を押さえきれない。確かにここには無駄があります。 だからといって、一律削減とは、馬鹿か。役人の頭は飾りか、何のために付いているのかとどなりたくなります。 一生懸命働いている真面目な人間より、働くつもりのない国の金で生きようとする不真面目な人間が より厚く国の支援を受けている姿を見せつけられたり、医療費が無料であるために毎日病院に行く 人間の話を聞くと、そこには幾らでも節約できる経費が存在することは理解できる。 だからといって全てを一律に削減するとは。 一律にに給付するのが過ちなら、一律に削減するのも過ちである。何でそこに気が付かないのか。 人間は生きているのだ! 全ての人間は一人一人違うのだ! 一律に削減すれば、そのことで生活できなくなる人たちが存在するのだ。そのことに何で気が付かない のだ。一人一人の国民に思いを致さぬ政治を止めさせないといけない。数字だけを見て、 人間の実体を理解しない政治が、国民にどれだけ苦しい悲しい思いをさせているのか。こんな政治を ストップしないと日本社会は役人と政治家の無能と責任逃れのために破滅しかねない。 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/uchinoko/etc/20040703.html ◇「疲れた……分からなくなりました」??妻は自閉症児と無理心中した 言ってドアに駆け寄る長女(4)の足音が、今日は聞こえない。鍵を開けた。電気はついている。寝室をのぞくと、妻(43)が、ネクタイで鴨居(かも い)からぶら下がっていた。うっ血した腕が変色している。足元の布団に、長女と小学3年の長男(8)が横たわっていた。首に手で絞めた跡が残っ ていた。5月31日午後2時48分、会社員は110番した。 長男は自閉症だった。脳の中枢神経に原因がある先天的な障害で、視覚や聴覚からの情報を整理できず、コミュニケーションに問題がある。呼 んでも振り向かない。冷蔵庫から勝手に出して食べる。ささいなことでパニックを起こし、壁をけった。 「いつかはよくなる」。夫婦はそう信じ、療育(障害者)手帳を取らなかった。 口数が少ない妻は誰にも頼らず、一人で根気強く長男に向かった。だが、学校でも勝手に動き回り、冷たい視線を浴びた。昨年秋ごろから妻は 「疲れた……」と口にするようになった。 妻とは見合い結婚。会社員の父(74)が「この人なら」と息子に紹介した。魚が大好きな孫を「感心やな」とほめ、トイレに積み木を詰まらせても 怒らなかった父は2月に急死した。それから妻は眠れなくなった。 精神科に通院させるため実家に帰した。だが、長男は実家でも奇声を上げ、池に石を投げた。裏山に登り、祖父母が捜し回った。「なじんでいる 小学校に通わせたいの」。妻は子供たちを連れ、4月末に帰ってきた。 長男の送迎は会社員の役割になった。朝6時からの勤務。8時半の休憩に、会社を飛び出す毎日。これでは自分も参ってしまう。施設に短期入 所させよう。妻はしばらくしてうなずいた。 5月30日、妻は施設入所に必要な療育手帳用の写真を取りに出かけた。調子がよさそうだった。手料理を久しぶりに食べた。翌朝5時、寝てい る3人を残して出勤した。それが最後に見た家族の姿だった。 「分からなくなりました」。たった1行の遺書がバッグに残っていた。「長女だけでも実家に残しておけばよかった。もう誰もいない」。会社員は身を よじった。 「おいけの あめふり ぴち ぱた ぽん」。授業で習った詩をくちずさみ、いつも長男は学校の玄関で母を待っていた。 × × 自閉症は乳幼児検診で発見され、早期に適切な療育を受ければ、その後の発達に大きな効果があると言われるが、前途に絶望した事件は続 発している。 外見は普通に見えるのに意思疎通ができない、親のしつけのせいにされる……。母子保健の貧困や専門医の不足も、乳幼児期の家族を孤立 させる一因だ。 清水將之・関西国際大学人間学部教授(児童精神科医)は「児童精神医学を教える大学は数えるほど。就職先が少ないうえ、診療には非常に 時間もかかる。国全体での専門医の養成、医療体制の整備が急務だ」と訴える。【神戸金史、鈴木玲子】 ………………………………………………………………… ◇一人、アルバム開く ![]() 「レンジ、温める」。自閉症児の長男は片言の言葉しか話さなかった。カレーと魚が大好きで、レンジを自分で操作したがり、いつも料理を作る母 のじゃまをした。雪だるまのような単純な人形の絵を描いては喜んだ。「遊園地に行くぞ」と声をかけると、にこにこして駆け寄ってきた。お菓子を買 ってもらえるかな、と期待する顔がかわいかった。長女の保育園入園式では、少しめかし込んだ妻が優しく笑っている。アルバムには家族の思い 出がいっぱい詰まっている。事件現場のアパートで、一人残された父はアルバムを開いて見せた。(写真・兵藤公治) …………………………………………………………………… 自閉症児をめぐる悲劇を繰り返さないために、連載「うちの子?自閉症児とその家族」を掲載します。 毎日新聞 2004年7月3日 東京朝刊 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/uchinoko/news/20040703ddm041070096000c.html 1 痛み、分かち合えたら 「パニックを起こした子供を抱え、車列に飛び込もうとした」「何度も首に手をかけたことがある」。4月21日付の本紙「記者の目」で私(記者)が自 閉症の長男(5)について書いたところ、200通以上の反響が届いた。自閉症児の家族からの重い手紙が多かった。私自身、妻から「長男が2歳 のころ、このままでは殺してしまうかもしれないと思った」と聞かされた。自閉症は「内気な性格」「引きこもり」とよく混同されるが、親子間でさえ深 刻なコミュニケーション不全を引き起こす先天性の障害だ。世間から誤解される一方で、親たちは孤立し追い詰められている。【神戸金史】 ◇同じ悲劇繰り返さぬため/心中事件の遺族を訪ねた/「近所に知られたら、死ぬ」 ◇親の悩み、深く重く 本日1面に掲載した会社員家族の事件からまもなく、また心中事件が起きた。「妻は長男の子育てなどで悩んでいた様子」。記事は長男が自閉 症だったことには触れていない。このように報じられる心中事件の中に、かなり自閉症児が含まれているのは間違いない。事件現場を訪ねた。 取材に応じたのは夫と4人の祖父母。祭壇には美しい女性と子供の遺影と骨つぼが並んでいた。現場の凄惨(せいさん)な光景、遺書、動機… …。残された家族は3時間にわたり詳細に語った。ところが、最後になって祖母の1人が突然泣き出した。「記事が出て近所の人に知られたら、私 は自殺する」 雰囲気は一変した。「同じ悲劇を繰り返さないために、同じ悩みに耐えている自閉症児のお母さんのために」。頭を畳にこすりつけて協力を頼ん だが、にべもなかった。「あんたは商売かもしれないが……」。十数ページ書き込んだノートは取り上げられた。 万策尽きた。畳に手をつき礼を述べた時、不意に胸の奥から熱いものがこみ上げた。たしかに私は仕事でここに来た。しかし……。「この遺影は 未来のうちの家族かもしれないんだ」。頭を押しつけたまま私はこらえ切れずに嗚咽(おえつ)した。「そんなつもりじゃ」と声が聞こえた。私は何度 も「すみません」と謝り、涙を抑えられないまま辞去した。 近くにとめてあったレンタカーの運転席に体を沈めた。そのまま1時間近く動けなかった。 × × 14歳の自閉症の息子のパニックに悩み、手にかけてしまった父親にも取材を申し込んだ。執行猶予付きの有罪判決が出て、刑が確定してい る。「私と長男の生活は決して終わってしまうことはありません。今も一緒に呼吸し、食べて、眠り、会話を交わす毎日です。私の人生のすべてだ った」。丁重に取材を断る文面から息子への愛情と悔恨がにじみ出ていた。 しかし、障害児を道連れにした心中事件を調べている市村大三弁護士(51)は「普通の殺人が懲役10年なのに、障害児を殺した親は重くて懲 役5年。執行猶予が付くこともある。温情判決は命を軽んじている」と主張する。親に同情しての減刑嘆願運動にも批判的だ。「障害児の親の気持 ちが分かっていない」と批判されることもあるが、「殺すくらいなら放り出せばいい。殺されるよりどれだけいいか」と反論する。市村弁護士の長男 (15)も自閉症だ。 × × この豊かで成熟した時代に、なぜ自閉症児の親たちは追い詰められるのか。 悲しみに暮れる遺族の家から追い出された後、ボーッとしたまま私は携帯電話で自宅をコールした。聞きなれた妻の声に続いて、「あはーはん (おとーさん)」。うちの子の声が聞こえた。=つづく 毎日新聞 2004年7月3日 東京朝刊 うちの子:自閉症児とその家族/2 違い、見分けつかない お気に入りのぬいぐるみは、常に同じ場所。少しでも動いているとパニックを起こす=千葉県内の保健師宅で ![]()
◇「賢い」が痛みに無頓着/人間関係うまくいかない/「検診すり抜け、多いはず」
「言語に遅れがなく、知的に問題がない場合どこにも療育の場はありません」 千葉県に住む保健師の女性(41)からアスペルガー症候群の長女(6)について書いた手紙が届いた。自閉症スペクトラム(連続体)の中に含ま れる障害だ。言葉は話せるが、微妙な皮肉や冗談が分からない。興味の範囲は限られ、対人関係がうまく行かない。それがなぜなのか、自分自 身もよく分からない。 保健師の自宅を訪ねた。「お母さん、もう一つお菓子食べていい?」。長女はうれしそうに菓子を口に入れた。ごく普通の小学1年生。自閉症児 の父である私(記者)が見ても、全く健常児との違いが分からない。 1歳半で人気ドラマの主題歌を正確に歌った。「この子は賢い」。祖父母は喜んだ。感覚がおかしいことに気付いたのは、3歳のころだった。風呂 で足に青黒いあざを見つけた。「これ、どうしたの?」。けがをしたことの自覚が長女はなかった。 怖いもの知らずで、蜂の巣に手を突っ込んで刺され、3メートルもある滑り台から飛び降り転がってもけろりとしていた。やってみたいことは即実 行。スーパーでは香ばしいお茶の大きな缶に腕を突っ込んだ。保健師は平謝りし、ほうじ茶を1キロも買い込む羽目になった。 アスペルガー症候群の中には、痛みに対する反応が過剰な人や、逆に無頓着な人がいる。味覚や臭覚が過敏で、特定の会社のレトルト食品だ け嫌がったり、特定の香水を付けた人が苦手だったりすることもある。 長女は怒ると両足でジャンプしながら、2〜3時間も泣き叫ぶ。「聞き分けがない子」という視線にさらされながら、保健師はやっと気付いた。 「しかっても、『なぜいけないのか』をこの子は理解していない」 発達心理学を専攻した精神科医を探し、今年1月にやっとアスペルガー症候群と診断された。入学式は迫る。知能は高いのだから、普通の教育 を受けさせたい。障害だとは言わずに入学させた。 入学式の帰り道。子供たちがかけっこを始めた。追い抜かれた長女は怒り出した。「あやまってよ!」。相手の子は理由が分からない。保健師が なだめても30分以上パニックが続いた。こんなトラブルが入学後も相次いだ。とうとう6月8日、担任への連絡ノートで「実は……」と障害を告白し た。目を合わせて注意をそらさせず、単語を区切ってゆっくり話してくれるよう頼んだ。帰宅した長女は「今日は先生の言っていることが分かった」と ご機嫌だった。 自閉症スペクトラムは、新生児100人に1人はいる。わがままでも、親のしつけが悪いのでもない。そういう特性の先天性障害なのだ。特性を理 解すれば対処方法はある。「3歳児や就学時の検診をすり抜けている発達障害児はとても多いはず。保健師としても痛感します」【神戸金史、写真 も】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ◇幅広い発達障害の種類 発達障害は自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれる。自閉症は知的障害がある場合 と、知的障害を伴わない「高機能自閉症」があるが、いずれも(1)対人関係や社会性の障害(2)言葉や目線などコミュニケーションに問題(3)パ ターン化した行動やこだわりが強い、という症候が見られる。アスペルガー症候群は言葉の遅れや知的障害はない。これらを「自閉症スペクトラ ム」という。 一方、ADHDは(1)不注意(気が散りやすい、長続きしない)(2)多動、多弁(3)衝動的に行動する、の特徴がある。LDは全般的な知的発達に 遅れはないが、読み書きや計算など特定分野に偏りがある。【鈴木玲子】 こういう私、わかって ◇家族は役柄と信じていた/1歳半で絶対音感身に付け/涙が出て「悲しい」と知る
世の中は、シナリオに沿って動いていると信じていた。「父」とは朝8時、家を出て行く役。出勤後、父は次の出番を待っている。自分はいじめら
れ役。「役柄を完ぺきに演じないといけないと考えていました」 6月25日、横浜市。福祉ボランティア対象の講演会で、佐賀県に住む藤家(ふじいえ)寛子さん(24)は小学2年まで信じて疑わなかった世界観 を説明した。 私(記者)が「記者の目」で自閉症の長男(5)のことを書くと、すぐにメールをくれたのが藤家さんだった。自分がアスペルガー症候群であることを 明かし、「他の誰かになりたかった」という本を4月に出した。 眼鏡を離せない。理由は「ふちの中だけを見ればいいから」。私たちは会話の相手の顔を主に見て背景はあまり意識していないが、藤家さんは 視界に映るすべての映像が、すべての雑音とともに頭に流れ込んでくるという。情報の処理に手いっぱいになると、「からくり人形」のように体が動 かなくなってくる。 私の長男が3歳ごろまで車の騒音と私の声を区別できなかったことを思い出した。自閉症は知覚情報を脳が整理できず、蛇口から水が流れる音 が滝つぼの真下にいるように聞こえる人もいるという。 運動神経の感覚にも問題がある。「右足の次は左足」。小学校までは意識しないと歩けなかった。体温調節は今も自然にできない。微細な顔の 筋肉の動きと声の大小で、相手の喜怒哀楽を想像する。嫉妬(しっと)のような複雑な感情はまだうまく理解できない。 その一方、どんな音階も完ぺきにとらえられる「絶対音感」は1歳半から獲得した。だが、人の声にそれぞれ特徴があることは最近知った。音階 の正確さだけが好みの基準だった自分に気づき、がっかりして持っていたCDを売ってしまった。 アスペルガー症候群には、まれに「天才」が現れる。哲学者のウィトゲンシュタイン、音楽家のサティはその典型と言われる。テレビドラマの人気 者「ミスター・ビーン」もそうだ。藤家さんも幼稚園のころから、10ケタの数字を1回聞いただけで、逆から言える。 「いじめに耐えられる自分になればいい」。藤家さんは小学4年で、明るく世話好きな別の人格が心の中に生まれた。弱い本当の自分はその陰 に隠れた。大学2年生で倒れ、回復した時には中学や高校時代の記憶をほとんど失っていた。代わりに、素顔の自分が初めて分かった。アスペ ルガー症候群と診断され、「感覚異常は思い込みじゃなかった」とほっとした。 今は二つの概念を理解しているつもりだ。家族と愛情。父は、家族のためにお金を稼ぎに働きに出る。母は頑張って私を産んでくれた人。「配役 じゃない。本当に私とつながっている人なんだ」 少し変わっているかもしれないけれど、こういう障害があることを理解してほしい。「悲しいから涙が出るんじゃない。涙が出て初めて『今、私は悲 しいんだ』とわかるのです」【神戸金史】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… 連載へのご意見、ご感想をお寄せ下さい。ファクス03・3212・0635 メール shakaibu@mainichi.co.jp 貧困な乳幼児期支援
まだ長女(13)が小学1年生のころだった。居眠りや忘れ物が多く、よく一人遊びをしていた。「うちの子は何か問題があるのでしょうか」。相談し
た母親(36)は、担任教師の冷たい視線に押し黙るしかなかった。 <しつけの悪さを、子供のせいにしている> 担任の顔にそう書いてあった。 家では明るい普通の子だった。「顔を洗いなさい」「もう学校へ行きなさい」と言えば素直に従った。ところが、学校では一変。チョウを見ると授業 中でも追いかける。集団行動ができず、3年生のころ、注意欠陥多動性障害(ADHD)ではないかと思った。が、当時の担任も「何ですか、そ れ?」。 「わがまますぎる」とクラスで浮き上がり、いじめの標的になった。青あざが絶えなかった。「うちでは普通なのに……」。母親はノイローゼ気味に なった。長女に包丁を向けた。風呂で沈めようとした。「ここまでやれば責任取ったことになるんでしょ、と世間に言いたかった」 6年生になり、新しい担任が教室の異常に気づいた。「あまりにひどい」と泣いて児童に迫った。いじめは止まった。中学のスクールカウンセラー と連絡を取り、専門医からアスペルガー症候群と診断された。 「もっと早く分かっていれば、学校生活は違うものだったかもしれない」と母親は悔やむ。 × × 窓辺に置かれた電車や積み木の自動車で、高機能自閉症の男児が遊んでいた。あいち小児保健医療総合センター(愛知県大府市)の心療科 診察室。 「次回は9月にね」。杉山登志郎心療科部長は、A4判ファイルが並んだ2段重ねの棚から次の患者のファイルを取り出した。この日の患者数は4 0人。週1回の発達障害の外来日には県内外から患者が殺到する。 同センターは四つの専門外来がある。初診を受けるのに心身症と不登校は1カ月半、虐待など子育て支援は2週間待ちだが、発達障害は実に 2年9カ月も先だ。子ども本人だけでなく、親や学校の先生にもじっくり話を聞かなければならない。だが、発達障害を診察する児童精神科医は全 国に約200人しかいない。杉山心療科部長は「待っている間に幼児期が過ぎてしまう。発達障害は早く気づいて早期療育につなげることが大切 なのに」と懸念する。 × × アスペルガー症候群も高機能自閉症も知的障害を伴わないだけに、なぜ周囲との不調和が生じるのか、本人や家族もわからない場合が多い。 いじめ、排斥など2次的被害にも苦しめられる。 成長とともに自己決定を尊重し、本人中心の生活を支援する態勢の充実が求められており、医療主導の治療や教育偏重には批判も根強い。し かし、乳幼児期を支える医療現場はあまりにも貧困だ。子ども10万人当たりの児童精神科医数(96年)はスウェーデン12・5人、スイス12・0人 に対し、日本は0・35人しかいない。【神戸金史、鈴木玲子】=つづく 優しい目で見守って ◇パート勤め、母子の生活/「私が死んだら…」将来は/家族に寄り添う支援を その夜のメニューは、豚のブロック肉と大根、ニンジンを煮込んだ沖縄風料理だった。スーパーで食材を買い、レシピも見ずに料理した。「少し酸 っぱいが、十分食べられるよ」と言うと、翔君(17)は「ありがとうございます!」と大きな声を出した。 翔君はシャワーを浴びるため、必ず午後6時に買い物から帰る。その後の予定があるわけではないが、遅れそうになると慌てる。料理は1回50 円、米とぎ30円、アイロンがけは20円。小遣い帳に鉛筆で書き込み、たまるとゲームソフトを買う。独り言をつぶやきながら、洗濯物をたたんで丁 寧にアイロンがけする。「こんな日が来るとは夢にも思いませんでした」と母親の目崎順子さん(43)は言う。 2歳のころは自閉症特有のパニックをよく起こした。「あの子、変」「親のしつけが悪い」。厳しい視線を避け、目崎さんは夜の公園で遊ばせた。子 育ての何が楽しいんだろう。翔君を抱いて大通りの車に飛び込もうとし、直前で思いとどまったことが2度あった。 10年前に離婚してからパニックは減った。親の不安定さが子に影響していたことを知った。パート収入や実父からの援助で生活してきたが、将 来を考えると不安になる。翔君を就職させたくて、パソコン教室に通わせ始めた。 「私が死んだら……」。目崎さんが取材中に漏らした言葉を、食器を洗っていた翔君が聞きつけた。「お母さん、死ぬの? 嫌だよ。だめ。絶対」。 顔が引きつっている。「まだ死なないから大丈夫」。何度もなだめられた翔君は「協力してよ!」と大声を出し、洗い物に戻った。 よく似た境遇の女性(41)から投書が届いた。高校生の娘2人が軽度の自閉症。離婚後の生計はアルバイト収入のみ。「娘が社会に出られる か。自立できなかったら、そこで私たちは……」。何の支援もなく瀬戸際で踏みとどまっている家族があちこちにいる。 取材後、目崎さんからメールが届いた。「あれから翔が『疲れたでしょ』と肩をもんでくれました。ずっと3歳のままでいてくれたら……と考えてた自 分を、今はばかだったと感じます」 × × 「レインマン」「光とともに…」など自閉症をテーマにした映画やドラマは多いが、現実の自閉症児は意外に知られていない。専門性の高い療育が 求められる一方で、科学的根拠の薄い治療法や薬や教育が喧伝(けんでん)され、ブームになったものもある。わらにもすがりたい親の気持ちにつ け込んできた一部の「専門家」への批判は根強いが、マスコミが宣伝に一役買った例も少なくない。 その陰で悲劇が繰り返されていることを、私たちはかみしめなければなるまい。どんな障害があっても自己実現や社会参加のための支援が必要 だが、まず幼い子どもを守らなければ何もならない。乳幼児期の医療や福祉を充実し、本人や家族に寄り添った支援が必要だ。そして何より、あ なたの隣で暮らしている自閉症児とその家族を優しい目で見てほしい。【神戸金史】=おわり http://www.sankei.co.jp/news/041111/morning/11pol002.htm 生活保護費補助率下げ 公明、容認に転換 政府与党合意優先で譲歩 公明党は十日、「三位一体改革」について幹部らが対応を協議し、これまで反対姿勢を示してきた生活保護費の国 庫補助率削減を容認する方向で検討に入った。自民党内では、生活保護費と国民健康保険(国保)の国庫補助率を 大幅に引き下げることで、地方六団体が提案した三・二兆円規模の補助金削減額の大半を捻出(ねんしゅつ)する案 が検討されているが、公明党が容認姿勢に転じたことで与党内調整が一気に進む可能性が出てきた。 生活保護費の国庫補助率削減案は厚生労働省が地方案への代替案で提示した。現行の「四分の三」を、「三分の 二」もしくは「二分の一」に引き下げるとしている。 公明党は生活保護費について、昨年の「三位一体改革」で「地方の反発が強い」と猛反発して見送らせた経緯があ る。今年も厚生労働部会で「地方財政の負担が大きくなる」(中堅)といった反対意見が相次ぐなど依然、慎重論が支 配的。重点を置いてきた弱者保護の金看板に「傷がつく恐れがある」(幹部)ことや、東京都議選を来年に控え「選挙に 悪影響が出かねない」(同)との恐れがあったためだ。 こうした事情を抱えながらも容認論に傾いているのは、昨年の「平成十七年度に実施する」との政府与党合意を優先 せざるを得ない、との判断があるためだ。 さらに、北側一雄国土交通相を入閣させていることもあり、同じく削減対象となっている公共事業分野、「とりわけ公営 住宅の建設」(中堅)では譲りたくないとの意向が強く、「ある程度は生活保護費を譲歩せざるを得ない」(同)との考え だ。 公明党の柔軟姿勢に政府・自民党内には安堵(あんど)の色が広がっている。社会保障費の削減幅を上積みするこ とで義務教育費国庫負担金など他省庁分の大半をまかなう案の実現には、「生活保護費削減に難色を示す公明党の 説得が最大のハードル」(自民党幹部)とみられていたためだ。 ただ、引き下げ幅については、自民党幹部が大幅削減を目指しているのに対し、公明党は「支持者に説明のつく範 囲」(中堅)としている。 tamon:生活保護費と国民健康保険(国保)の国庫補助率削減というが、国民に痛みを求める前に、政府役人は自分たち自らの痛みを求めるべき である。先ず自らの給与体系を見直すこと、次に生活保護や医療制度のあり方を根本から見直すこと。これら無くしては、何も始まらない。何も解 決しない。赤字垂れ流しのざる構造を改めないと、再び膨らむ赤字の前にまた国民に負担を求めることの繰り返しになる。国民の最低限の健全な 経済が守られなければ国民は国の赤字を負担できる余裕などなくなる。 ここで一歩間違えれば、日本経済は倒産である。先ず役人の給与を思い切って3割4割カットしないと役人の目は覚めない。彼等は国家財政の行 き詰まり国民財政のひっ迫を他人事として見ている。ここから改めなければ財政債亜ケンは不可能である。日本の役人には有能な人間は多い。 有能な人間にその力を発揮させることである。 生活保護制度にせよ医療制度にせよどれほど無駄遣いがあるか。必要なものには必要である。それを一律とすれば人は生きていけなくなる。真 面目なものが損をして、ずるがしこい人間が特をする社会にしてはならない。一律削減というのは役人の無能と無責任と無知、そして仕事を増やし たくない根性の結果である。 西鉄バス乗車拒否か!? 今月の初めでしたか、天神と博多駅の間のとある停車場で、 バスに乗ろうとしたら、知らんぷりされてしもた。 あれは乗車拒否やろか。 それとも気が付かんやったとやろか。 その日、博多駅ビルに用事があって、天神までバスで行って、 天神から地下鉄に乗って博多駅まで行くつもりでした。 ところがバスに乗っている最中に雨がポツポツ降り出したので、慌てて途中で下車して、 そこから、天神-博多駅のバスに乗り換えて早道しようとしたら、バスを降りて数分もせずして、 本格的雨になり、傘を買って停留所へ。 人の多いバスはさけて、少なめの博多駅行きの一台後のバスに乗ろうとしたら、 あらら、さっさと行き過ぎてしもた。 前のバスのせいで見えなかったとやろて思うて、次の乗っている客の少ないバスに 乗ろうとしたら、あららまた行ってしもた。 それを見ていたお客が、「あのバスに乗ろうとしたとやなかとね」と怒りの形相。 「よかですバイ。次ので行きますケン」 で、これ以上時間ば遅らせられなくなり、客の多いバスに乗り込んで行きました。 今まで一度も乗車拒否をされとらんですから、 運転手が何か見間違いしたとかもしれんですタイ。 バッテン、目が合ったとやけん、「乗られますか?」位声ばかけて欲しかったない。 雨のざんざん降っとるとやけん、あんまし迷惑かけんごてて思い、 屋根のあるとこで待っとったとに。 やっぱ、時間はかかっても、乗車拒否のされん電車が正解かもね。 ![]() 前年度の約一・五倍になっていることが分かった。自治体への国の補助金が約五十億円不足する恐れが出てきてい る。自治体は「早急な対応が必要」と要望、障害者団体も「財源不足は今後のサービス低下につながる」と危機感を募 らせている。 を決めていた措置制度の時は月平均で約三十九億六千万円だったため、一・三五倍に増えていた。 いるとみられ、坂口力厚生労働相も「好ましいこと。支援費制度の目指している方向に来ている」と発言する。同省も当 初から利用者が増えることを見込み、今年度は前年度の措置制度での交付決定額約二百三十七億円を上回る約二 百七十八億円(十一カ月予算)濠確保した。 平均の一・五一倍に拡大。同省の推計ではこの水準の利用が続けば、国が事業費の二分の一を補助するためには約 三百三十億円が必要となり、約五十二億円不足するという。 足となった場合を想定し、利用時間を基にした交付基準を決めようとしたが、障害者団体が「利用時間の上限となる」と 強く反発。同省は「二分の一の補助ができるよう最大限の努力をする」と確約した経緯がある。 からないが、組んだとしても厳しい財政状況の中、増額要求は厳しそうだ」としている。 の指定を控える動きがある」と指摘。「国は制度の実施状況の把握と、財源の確保をはじめとした対応を早急に図るよ う強く求める」と同省に要望した。 導入を評価する一方、二分の一の国庫補助が受けられないと、康年度からサービスを縮小せざるをえない市町村が 出てくると予測。「障害者から必要な介護を受けられなくなるのではと不安の声が上がっている」と訴えている。 定。決定を受け、障害者は必要な福福祉サービスを行っている事業者と自ら契約し、上回った分は自己負担となる仕 組み。これまでの「措置制度」では自治体が障害者に必要なサービスを決定していたが、障害者の自立を重視、介護 保険と同様に事業者も競わせ、利用者本位のサービス提供を目指す。ただ一部の自治体では事業者参入が進まず、 障害者が必要なサービスを受けにくい状態になっている。 年度の措置制度での交付決定額より約四十一億円多く確保していたにも関わらず、五十億円の超過とはいかなること か。しかも、坂口厚生労働相も厚生労働省も当然の如き受け止めようである。これでは国会の審議は嘘八百である。 国民を欺くかくの如き態度は、いずれ障害者支援費制度そのものの破綻となって障害者の身に返ってくるであろう。 「車イスで入れない中央公園」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 信手段として需要が拡大しているのに応える店舗のバリアフリー化など、料金以外でも身障者が利 用しやすい仕組みを整備していく方針だ。 手数料では、新規契約に限らず、今まで家族名義で加入していた身障者が名義変更する際も無料 とする。9月から適用する。 携帯と一般電話向けの通話料を50%割り引く。ツーカーは月額1700円の基本使用料を支払うと、 1700円分の通話が出来るなど2つの特別料金を設ける。
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